ユーロ/円相場は111円台後半まで値位置を切り上げる展開になっている。欧州債務環境に改善が見られる一方、円売り圧力が継続していることで、ユーロ/円相場は一段と上値を切り上げる展開になっている。既に年初来高値を更新しており、昨年8月以来の高値水準に到達している。
格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がギリシャの格付けを「選択的デフォルト」から「Bマイナス」に引き上げたことに象徴されるが、欧州債務問題は小康状態に陥っている。依然として南濃諸国の政情不安が大きなリスク要因になるが、12月の独Ifo景況指数が2ヶ月連続で上昇したこともあり、景気回復の遅れが債務問題を更に悪化させるとの懸念も後退している。1月10日の欧州中央銀行(ECB)理事会では追加緩和策が検討されるとの観測が高まるとユーロ売り圧力が強まる可能性もあるが、金融政策環境で言えば円サイドの方がネガティブ材料が多く、ポジション調整の域を脱することは難しいだろう。
一方、自民党の安倍総裁は、来月に日本銀行がインフレ目標を引き上げない場合には日銀法の改正を検討する考えを表明した。円売り圧力には過熱感もあるが、総選挙での自民党圧勝の影響もあって、日銀は一段と緩和的な政策対応を迫られる状況にある。このため、円売り圧力の払拭は難しく、ユーロ/円相場についてもユーロの動向にかかわり無く、押し目買い基調を迫られることになるだろう。
今後1週間の予想レンジは、110.00~113.25円。